なやみ

 男は、あることについて悩んでいた。それは、自分の平凡さについてだった。
 男は26歳。中小企業に勤め、平凡な地位についている。住まいは平凡なアパートの平凡な部屋だ。
男は中肉中背であり、両親も平凡な人だ。ようするに、特徴も特長もない男だったのだ。
 悩みは、少しずつ変わっていった。こんな俺にも、どこか平凡でない点があるのではないか。
 しばらくして、ついにその点を見つけた。それは、平凡なところだ。
これほど平凡な男は、世界に2人といないだろう。この点だけは、平凡ではないのだ。
 しかし、平凡でない点を見つけたせいで、男は平凡な男ではなくなる。すると、平凡という平凡でない
点が消えてしまう。しかし、平凡でない点が消えたせいで、男は平凡になり、その特長も出現する。
すると、平凡ではなくなり、個性も消える。だが、そうなると、平凡になり、特長が復活し…
 このごろは、それが悩みだ。


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