不吉な時間

男が細い道を歩きながら腕時計を見ると、ちょうど4時44分を告げていた。
「不吉な時間だな…」
そういいながら男が歩いていると、何かに躓いて転んでしまった。
「痛い。本当に不吉な時間だ」
と呟いていると、上から何かが落ちてきた。ビルの窓から、窓際にあった
パソコンのモニターが落ちてきたらしい。とっさによけたが、破片で足を怪我してしまった。
「なんてことだ。だが、こんな不吉な時間ももうそろそろ終わるだろう」
と、腕時計を見たが、まだ終わっていない。男は不安を感じ、大通りへと走り出した。
しかし、大通りに出る少し前、目の前を通った黒猫に驚いた拍子に足がもつれ、
道路へとよろけた。そこへ、凄まじい速さで大きなトラックが…

「まったく、どうしてこんなところで事故が起こったんでしょう」
「見通しがわるいわけでもないのにな。証言者によると、いきなりよろけて車道に飛び出したそうだ」
「ただひとつ気になるのは、事故が起きた時間は昼間の12時だというのに、はねられた男の腕時計は
4時44分で止まっていた、ということですね」
「不吉な時間だな」


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